牧師 古森薫
“世界のベストセラー”である聖書は旧新合わせて66巻あり、そのうちの22巻つまり3分の1は歴史書で構成されています。聖書の歴史書を読みますと、創造主なる神が物質的なものをお造りなっただけでなく、時の流れの中でどのように人間と関わってきたのかを知ることができます。
旧約聖書の時代、イスラエルの民はエジプトで奴隷にされていました。彼らは重い苦役を課され、苦しみのあまり、うめき、叫びました。すると彼らの声は神に届き、神は民と交わした祝福の約束を思い起こされました。そののち、神はモーセをリーダーとして選び、数々の奇跡をエジプトで行った後、紅海を二つに分けて彼らをエジプトから脱出させてくださったのです。ちなみに、印象的なその場面は映画「十戒」に描かれて大変有名になりました。この偉大な出来事は、何の権力も持たない弱い奴隷たちの悩み苦しみ、うめき、叫びを神が聞いてくださったことから始まったのです。
これ以外にも聖書には、弱く小さい者の悩みを神が聞いてくださり、そこから歴史が大きく動いていくというエピソードがしばしば登場します。この世で無力な人の悩み苦しみ、うめき、叫び、祈りを神が聞き、人には出来ないことを成し遂げて、この世界の歴史は進んでいくと教えています。確かに、目にみえるこの世界は権力者が支配しています。あるいは、民主主義国家では選挙の結果や議決によって歴史が動いているように見えます。しかし実は、目に見えない神が今も全世界を統べ治めておられるのです。
ですから神を信じる者の地上での労苦について、聖書はこのように言います。
「堅く立って、動かされることなく、いつも主(神)のわざに励みなさい。あなたがたは、自分たちの労苦が主(神)にあって無駄でないことを知っているのですから。」
(コリント人への手紙第一15章58節)
読書の秋、世界の歴史書でもある聖書をお読みになってみてはいかがでしょうか。