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2019年10月(Oct) 

「空の鳥を見なさい」 

 収穫の秋がすぐそこに来ています。そこで考えます。私たちの生活は養殖や計画的な食糧生産などこの世を正しく管理することによって成長し守られていますが、そもそも、実りをもたらす自然がなければ成り立たない事であって、依然私たちは大きな恵みの中に生かされている存在なのだなあ、と。
 新約聖書の中の山上の説教と呼ばれるイエス・キリストの有名な言葉に、次のようなものがあります。
「空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。
それでも、あなたがたの天の父は養っていてくださいます。
あなたがたはその鳥よりも、ずっと価値があるではありませんか。」
マタイの福音書6:26
 この言葉は、私が高校生だった30年以上前の倫理社会の教科書にも載っていた言葉で、聖書を知らない人でも聞いたことがあるかもしれません。その価値観について皆さんは、どんな評価をされるでしょうか。ひょっとしたら、なんだか無責任な言葉だなあ、と思われる方もあるかもしれません。人間の努力を否定しているかのように捉えられてしまうこともあるからです。しかし、もちろんそうではありません。少し説明しましょう。
 私たちは、ともすると毎日の生活に汲々として大きな恵みを忘れてしまうということが起こります。毎日のニュースでも、年金は将来大丈夫なのか、安全保障は担保されているのか、人口減社会で果たして社会機能は持つのか、などと報道され、それに耳を傾けている内に、解決法を考えるというより、不安だけが増長するということが起こります。
 課題を挙げ、正しく対応することは非常に重要なことで、こうした問題に真剣に向き合う必要はあると思います。しかし、その課題に立ち向かおうとする時の私たちの心の中の状態は、実は、もっと問われる必要があると思います。
 すなわち、不安一杯で、助かるかどうかも分からないで冷静さを失って手を打つのか、それとも、必ずこの問題は解決する道があると信じて、落ち着いて課題に向き合うのかということです。
 イエス・キリストは実は私たちに大切な価値観を伝えられたのです。私たちの存在は天地万物を創造された神様から見て、価値のある存在だということです。そして、その方に信頼して歩む時に、必ず生かされる道はあるのです。そしてこの安心感が問題解決には不可欠です。
 考えてみれば、年金制度なども昔には存在すらしていませんでした。色々な見方はできますが、現行制度ができたのは戦後のことです。それでもその以前の人も生きてきました。安全保障も人間の愚かさの故の緊張感がそもそもの問題の出発点です。人口減も、ある程度の部分、人為的な不安から起こってきた問題だとも言えます。(それこそ戦後は人口増が問題であると日本人は憂えていたのです。)
 まずは落ち着いて問題に取り組むという姿勢が必要です。私たちの心がまず神様にある平安に満たされ、自分に与えられている本来の価値観に気が付くということが、絡まった紐をほどく出発点だと言えると思います。
 短いイエス・キリストの言葉はそうした不安を覚えやすい私たちの心にストレートに投げかけられています。
 私たちも空の鳥を見て、自分の人生が神様の目から見て大切に覚えられていることを思い起こそうではありませんか。

主任牧師 神戸 博央